マンション購入は、
多くの方にとって人生最大級の買い物です。
期待や高揚感がある一方で、
契約後や入居後に「こんなはずではなかった」と
後悔されるケースも少なくありません。
本コラムでは、
不動産会社の実務現場で実際に起きやすいトラブル事例と、
その予防策を詳しく解説いたします。
売買契約前には、
宅地建物取引士による「重要事項説明」が行われます。
しかし専門用語が多く、
十分に理解しないまま契約に進んでしまうケースが見受けられます。
特に注意すべきポイントは次の通りです。
・長期修繕計画の妥当性
・修繕積立金の将来的な値上げ予定
・管理費の収支バランス
・用途地域や建築制限
・周辺の再開発計画
中古マンションの場合、
管理組合の運営状況や修繕積立金の滞納状況によって、
将来の追加負担が発生する可能性もあります。
議事録を確認せず購入し、
後から多額の一時金徴収が決議されるケースもあります。
対策:
事前に資料を取り寄せ、
内容を読み込むこと。
不明点は遠慮せず質問することが重要です。
住宅ローンは購入の可否を左右する重要な要素です。
・事前審査は通ったが本審査で否決
・変動金利のリスクを理解していなかった
・団体信用生命保険の加入条件を誤解していた
近年では、
日本銀行の金融政策変更により金利環境が変動しています。
2024年にはマイナス金利政策が解除され、
今後の金利上昇リスクも現実味を帯びています。
変動金利を選択する場合、
将来返済額が増える可能性を織り込んだ資金計画が不可欠です。
対策:
・固定金利と変動金利の違いを理解
・金利上昇を想定したシミュレーション
・返済比率は余裕を持って設定
「借りられる額」と「無理なく返せる額」は異なります。
物件引渡し後に不具合が発覚するケースもあります。
・雨漏り
・給排水管の漏水
・床の傾き
・設備機器の故障
2020年の民法改正により「瑕疵担保責任」は
「契約不適合責任」へと変更されました。
売主が宅建業者か個人かによって責任期間も異なります。
過去には三菱地所レジデンスの物件で施工データ改ざん問題が発覚し、
社会的な注目を集めました。
大手デベロッパーでもリスクはゼロではありません。
対策:
・ホームインスペクションの活用
・アフターサービス基準の確認
・保証期間と範囲の明確化
契約書の条文確認は必須です。
マンションは「共同所有物」です。
建物そのものよりも、
管理状態が資産価値を左右します。
・修繕積立金不足
・理事会の機能不全
・長期修繕計画が形骸化
・滞納問題
国土交通省は管理適正化を推進していますが、
実態は物件ごとに大きく異なります。
掲示板の様子、
共用部の清掃状態、
自転車置場の整理状況などからも管理レベルは読み取れます。
対策:
・直近の総会議事録を確認
・修繕履歴と今後の計画を把握
・管理会社の変更履歴を確認
価格の安さだけで判断するのは危険です。
購入後に多い相談が「騒音問題」です。
上階の足音、
楽器演奏、
ペット問題などは、
実際に住んでみなければ分からない部分もあります。
また、エリア選びも重要です。
再開発で人気を集めた武蔵小杉では、
台風被害により浸水リスクが注目されました。
資産価値は災害リスクやインフラ状況に大きく影響されます。
対策:
・昼夜の時間帯を変えて現地確認
・ハザードマップの確認
・周辺施設や交通量のチェック
「昼間は静かでも夜は騒がしい」というケースもあります。
契約後に解約を希望するケースもあります。
手付金放棄による解除には期限があり、
それを過ぎると違約金が発生する場合があります。
また、住宅ローン特約付き契約でも、
適切な手続きを行わないと特約が適用されないケースがあります。
対策:
・解除期限の明確な把握
・ローン申込手続きの徹底
・契約書条項の事前確認
契約書は「署名する前」に理解することが鉄則です。
人口減少社会において、
立地選定は極めて重要です。
駅距離、
再開発計画、
商業施設の有無、
学校区など、
多角的視点が必要です。
「今人気がある」ことと
「将来も価値が維持される」ことは別問題です。
短期的なブームや広告に惑わされず、
中長期視点で判断することが求められます。
10年前人気があった吹田市の大型マンション群ですが、
いろいろと共有部分が充実してるのですが、
分譲当初から、
「20年後にはこの状態を維持できてるかな?」
と感じていたところ、
早くも分譲当初にあった共用部分が廃止されていました。
あくまで予想でしか判断できない「未来」ですが、
少し頭で考えてみることも重要な気がします。
マンション購入トラブルの多くは
1.情報不足
2.確認不足
3.資金計画の甘さ
4.将来予測の欠如
に起因します。
不動産会社の立場から申し上げると、
最も重要なのは「焦らないこと」です。
条件の良い物件ほど早く決断を迫られますが、
冷静な確認作業こそが最大のリスクヘッジになります。
購入はゴールではなくスタートです。
10年後、20年後も「買って良かった」と思える住まい選びのために、
専門家の助言を活用しながら慎重に判断していただければと思います。
住まいは人生設計の基盤です。
十分な準備と情報収集を重ね、
後悔のない選択をしていきましょう。
久賀田 康太
寝屋川高校卒
関西大学法学部卒
住友不動産販売株式会社を経て、現職
(保有資格)
宅地建物取引士
マンション管理士
賃貸不動産経営管理士
管理業務主任者(未登録)
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